
Butterfly Effect は、私の個展のキービジュアルに据えた作品であり、タイトルそのものが音楽の骨格になっている曲です。
長い言葉をただ“題名”として置くのではなく、言葉が音として曲の中に生きるように設計しました。
この曲で用いた音名象徴は、次の音列で成り立っています。
《シ・ソ・ファ・ファ・ミ・レ・ファ・ミ・レ / ミ・ファ・ファ・ミ・ド・ファ》
私はこの音列を、Aメロで “Butterfly”、サビで “Effect” として扱い、言葉の役割そのものを構造に埋め込みました。
Butterfly:小さな羽ばたき(提示)
サビへ向かう提示は、蝶の羽ばたきです。
大きく何かを変えようとする力ではなく、ごく小さな行動が生む振動。
その振動が、見えないところで世界に触れ、やがてうねりとなっていく——その始まりを “Butterfly” の層として置きました。
私自身、未来が不安になることがあります。
「この先に何があるのだろう」「この苦しさに意味はあるのだろうか」
素晴らしいことがあっても、それが未来へ繋がっている実感が持てない日もある。
そんなとき私は、未来を早く変えようとするほど苦しくなるのだと気づきました。
未来は、突然変えるものではなく——
日々の小さな行動が積み重なって、自然に繋がっていくものなのだと。
過去へ戻りたいと思ったこともあります。
けれど、たとえ嫌なことを回避できたとしても、そこには別の人生がある。
なぜなら「今」は、数え切れないほど小さな選択の累積でできているからです。
その場所、その人、その時間、その服、その一言……すべての piece が揃って、今の自分が成立している。
Effect:うねりが重なって未来を形作る(サビ)
“Butterfly” の羽ばたきが、世界のどこかで誰かに伝わり、
いくつもの振動が重なって加速していく。
その連鎖を、私は “Effect” としてサビに置きました。
曲の終盤でリズムが早足になっていくのは、
影響(Effect)が重なり合い、未来へ向かう波が増幅していくからです。
広がるのではなく、重なって密度を持ち、推進力になる——その感覚を音にしました。
ピカルディ終止:未来は「変える」より「設定する」
そしてこの曲は、最後に **ピカルディ終止(短調から長調へ)**で終わります。
私にとってこれは、単なる“希望”の演出ではありません。
未来は、力でねじ曲げて変えるものではない。
けれど、繋がりの先に自分で“設定していく”ことはできる。
だから最後は、長調の響きで「ジャン!」と終わらせました。
私の作品の中でも、こういう終わり方は初めての選択です。
バタフライエフェクトは、科学だけではなく日々の中に息づく
「バタフライエフェクト」とは、小さな出来事が時間をかけて大きな影響を及ぼすかもしれない、という考え方です。
けれど私はこれを、科学の比喩としてだけではなく、私たちの日々の感覚として捉えています。
何気なく買ったお菓子。
気分転換の散歩。
途中で交わした一言。
その小さな行動が、自分の気分を変え、相手の気分を変え、数日後の選択を変えるかもしれない。
私が伝えたいのは、未来は「重さ」でも「願望」でもなく、
“今この瞬間の行動が、自然に未来へ繋がっていく”という流れそのものだということです。
同名の蝶のアクセサリー(ループタイ)にも、波紋のような模様を入れました。
蝶の羽の模様を、波紋の象徴としてデザインしたものです。
波紋は軽やかに広がるけれど、確かに世界に触れている——そのイメージは、この曲とも重なっています。
小さな一歩が、うねりになる
どんな一歩も、うねりのひとつに繋がっている。
信じられなくても、わからなくても、
変えるのではなく、繋げる——今を重ねるだけでいい。
来る世界を動かす一歩が、ここにある。
この曲が、あなたの中の「今日」という時間に、
小さな羽ばたきをひとつ増やせたなら嬉しいです。
Maho











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