



ぽてぽての世界へようこそ
かわいい、だけじゃない。
ぽてぽての奥には、静かな知恵と、生きる強さがある。
ここは、マーモットたちの“やさしい哲学”の入口です。
この展示でいう「ぽてぽて」とは、
マーモットたちの丸み、所作、距離感、そして暮らしの知恵——
その全部を、やさしい眼差しで見つめ直すための入り口の言葉です。
見た目はのんびりしているのに、実はとても速かったり。
群れで暮らしているのに、それぞれの“ひとりの時間”があったり。
土を掘り、季節に合わせて生き方を変え、
静かに暮らしの環境まで整えてしまうこともある。
「ぽてぽて」は、ゆるさではなく、
生きるために選び取った形なのかもしれません。
Maho
ぽてぽてのうたとは



ぽてぽてのうたは、マーモットたちの暮らしを見つめながら、
私が感じたことを、絵と言葉で残していくシリーズです。
マーモットは家族や仲間と群れで暮らす動物です。
見張りをし、危険を知らせ、子どもを守りながら社会を作って生きています。そんな群れの中で一匹が突然いなくなることはただの出来事ではなく世界が少し欠けることかもしれません。
この詩はもし彼らが言葉を持っていたら語るかもしれない声を想像して書かれたものです。
この展示の詩は、ヒマラヤマーモットを主なモチーフにしています。
説明しすぎず、押しつけず、
ただ、見た人の心に“小さな余韻”が残るように。
ぽてぽてたちの時間の流れと、あなたの世界が重なる瞬間があれば嬉しいです。
マーモットとは?
マーモットはリス科の動物で、寒い高山や草原に暮らす“大地の民”です。
巣穴を家にして、短い季節に食べて備え、冬は長い眠りにつきます。
仲間と声や合図でつながり、見張りや助け合いをしながら生きています。
マーモットと人間の距離
観光地では、マーモットに食べ物を与える人もいます。
野生動物は、本来、人間を警戒します。
しかし餌付けが続くと、人間を危険な存在ではなく、食べ物を
くれる存在として覚えてしまうことがあります。
その結果、人間に近づくようになり、捕獲や事故の危険も
高くなってしまいます。
信じた相手に捕らえられてしまうこと。
それはとても悲しいことだと私は思っています。
ヒマラヤマーモット(天空の賢者)
「ぎゅっと暮らして、ひとりでいられる。」
ヒマラヤマーモットは、高地の厳しい環境で、十数頭の大きな家族
として暮らすことがあります。
個性が強いのに、仲間どうしのスキンシップが多いのが特徴。
ただそれは“ベタベタ仲良し”というより、同じ場所のざわめきを
そっと整えるための触れ合い。
日向や巣穴の出入口のように「いい場所」が限られると、押し合いのような“わちゃわちゃ”が起きやすいのも、この種らしさです。
それはケンカというより、順番・距離・立ち位置を微調整するための小さな交通整理。
だからこそ群れの中でも、それぞれが好きな場所で一人でいられる。
「連帯があるから自由になれる」社会です。
まめちしき
触れ合いは、仲間かどうかを確かめて落ち着くための合図でも
あります。

アルプスマーモット(堅牢の守護者)
「寄り集まって眠る、冬の共同体。」
アルプスマーモットは、中心となる繁殖ペアと、同じ巣穴で暮らす
家族(ヘルパー)からなる“大家族”で冬眠します。
ひとつの巣穴の中で役割が分かれ、家族を支える——そんな
社会性が特徴です。
冬のあいだ、巣穴の奥で冬眠。
命を守るために、体は“省エネのモード”へ入ります。
そして干し草を敷いた冬眠室に、家族で寄り集まって眠ることが
ある。それは「仲良しだから」ではなく、生き延びるための共同。
寒さの中でつくられる静かな連帯が、春の目覚めへつながって
います。
まめちしき
冬眠室には干し草を敷き、複数頭で寄り集まって眠ることが
あります。

ボバクマーモット(大地の守り人)
「見張りの合図で、草原がひとつになる。」
ボバクマーモットは、ひらけた草原で暮らすマーモット。
遠くまで見える場所だからこそ、危険の気配にも敏感です。
誰かが空気の変化に気づいたら、そのサインは仲間へ伝わって
いく。群れは、音や動きの合図で呼吸をそろえ、同じ方向へ整って
いきます。
巣穴はただの“家”ではなく、草原の中の避難所。
短い季節をしっかり生き、寒い時期には静かに力をたくわえます。
ボバクの暮らしは、草原に「間」と「呼吸」をつくる、共鳴の仕組みです。
まめちしき
穴を掘ることで土が動き、草原に小さな環境の違いが生まれる
ことがあります。

ウッドチャック(孤高の開拓者)
「地面の下で、自分の世界をつくる。」
ウッドチャックは北米に暮らすマーモットの仲間で、
グラウンドホッグとも呼ばれます。
性格はどちらかというと単独行動派。必要なときだけ会いにいく、
距離感のうまいタイプです。
この子たちのすごさは、何より巣穴づくり。
通路を伸ばし、いくつかの出入口を持ちながら、寝る場所・子育ての場所などを分けて使うことがあります。
巣穴の中に“お手洗い用の場所”をつくることがある——
そんな記録もあります。
春、赤ちゃんは巣穴の中で育ち、母親はしばらく授乳します。
やがて子どもたちは、自分の場所を探しに巣立っていく。
“ずっと一緒”ではなく、育てたら送り出す。
静かだけど、ちゃんと生きるための合理が詰まった存在です。
まめちしき
出入口はふつう複数。中には“お手洗いの区画”をつくることも。

お手洗い事情(ラトリン)
暮らしを守る、“お手洗いの置き場所”。
マーモットたちは、巣穴を“寝る場所”として大切にします。
だからこそ、排泄場所(ラトリン)を巣穴の外にまとめたり、生活
区画と分けたりして、清潔さや安全を保つ工夫が見られます。
ただし、その“分け方”は種や環境で少しずつ違います。
ここではマーモット独自の文化、ラトリンについて見ていきましょう。
ヒマラヤマーモット
巣穴の外に排泄場所をつくる傾向。(または巣穴から離れた場所を使う)
※環境条件で変わり得ます。
アルプスマーモット
巣穴を大切にし、排泄場所を生活区画から分ける傾向が知られる
(巣穴外のラトリンが話題になりやすい)。
※地域・群れで差があります。
ボバクマーモット
巣穴まわりの生活動線を整え、排泄場所を“居住区と離して”まとめる
※草原環境・土質で変化します。
ウッドチャック
巣穴の中に“お手洗い用の区画(トイレ部屋)”が作られることがある
※すべての巣穴で必ず、ではありません。
まめちしき
お手洗いの場所を分けるのは、「巣穴を守るためのルール」――
におい・衛生・安全を整える知恵です。

エコエンジニア(地面を耕す、ぽてぽての仕事)
穴を掘るだけで、草原と山が少し変わる。
マーモットは、たくさん穴を掘って暮らします。
その行動は「自分たちの家づくり」でもあり、同時に――
土地の空気や水の通り道、土の動き方を変える働きにもなります。
土が掘り返されると、地表の状態が少し変わり、
植物の育ち方が変わったり、虫や小さな生きものの居場所が増え
たりすることがあります。
こうして“環境のつくり方”に影響を与える動物は、
生態学では 「エコシステム・エンジニア(エコエンジニア)」 と呼ばれ
ます。
ヒマラヤのような高地でも、草原に暮らすボバクでも、そして他の
マーモットたちでも――
掘ること・通ること・住むことが、静かに土地の表情を作っています。
まめちしき
お手洗いの場所を分けるのは、「巣穴を守るためのルール」――
におい・衛生・安全を整える知恵です。



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